'08/05/06



スマート・ネコミミクス シリーズその9

ヒトネコは元々
戦闘生物の研究の末に生まれた
猫の進化系生物。
生命倫理に触れかねない為に
その研究は秘密裡に行われてきた。

何故機械ではなく生物なのか?
この世界では機械文明の進化が
マテリアルパフォーマンスの
限界近くにまで進んでしまった為に
ハードの進化は頭打ちとなっていた。
ソフトの進化も進んだものの、
人間の感覚的な意味でのグレーゾーンを
機械に認識させる方法論がどうしても確立せず
人間並みの自己判断力・適応力を
発揮できる機械をとうとう作る事が出来なかった。
その結果、バイオテクノロジーが注目され、
人間の遺伝子を擬似的に作り上げた物を
動物の遺伝子と融合させて
知能の高い強化生物を作るという方向で
研究が進められていった。

何故猫なのか?
それは偶然の産物なのかも知れない。
ヒトサル、ヒトイヌ、ヒトトラ、
ヒトオオカミ、ヒトライオンなど
様々な生物で実験体が作られ研究が行われたが、
知能が低い、情緒不安定、
生殖能力がない、短命など
体力のポテンシャルが高くても
戦闘生物としてのポテンシャルが
低い物ばかりだった。
その中で奇跡的にバランスの取れた実験体が
ヒトネコだったのである。

研究はヒトネコが完成した辺りで
世間に情報が漏れてしまった為に
これもまた秘密裡に研究機関ごと処分された。
その時に研究者が実験体を憐れみ
密かに数体のヒトネコを逃がすのに成功し、
それが数を増やしていったのが
現在のヒトネコたちである。